German Society For Thymus Therapy
1. 人体における胸腺の意味
植物や動物、もしくはヒトの体内には、「無駄な」もの、つまりいかなる機能ももたないものは存在しません。おのおのの器官は、多かれ少なかれ生体にとって必要な役割を担っているのです。特に重要なものの例として、例えば、血糖のレベルを調整する膵臓があります。物質(ホルモン)が必要に応じて分泌され、それが生体の機能を調整します。この臓器が失われたり、機能低下に陥ったりすると、生命にとって危険な状態が生じます。古代ではすでに、こうした欠損に対処するために動物由来の抽出物(エキス)を与える試みが行われていました。その最もよい例は、糖尿病への対処です。動物の膵臓の抽出物を与えられなければ、何十万という人々が糖尿病によって命を落としたことでしょう。 こうした事実から、身体に自己防衛力にとって胸腺がもつ意味に関する理論がどれほど重要か、確認することができます。膵臓の抽出物を与えることで膵臓の機能が促されるならば、同様に、胸腺の抽出物には免疫システムを刺激する効果があるはずです。なぜなら、胸腺は身体の自己防衛力の制御中枢と呼ばれているからです。ヒトの場合は、胸骨の真後ろに位置しています。ページ上へ
2. 胸腺療法の歴史
胸腺治療のための基本的な考え方は、すでに2000年以上もの間存在しています。自然物質(そのほとんどが動物由来でした)の摂取によって、古代の人々は健康と活動力を回復していたといわれています。哲学者であり医師でもあったヒポクラテスは、動物から摂取した物質を人体の器官に対して投与することを勧め、中世のパラケルススも、動物の器官は医学にとって特別な重要性があると気づいていました。18世紀にはすでに、ハーネマンが「Similia Similibus Curantur」、つまり「同等のものを同等のものによって治癒する」ことを唱えていました。これは、ホメオパシーの基本原理です。
1930年代には、スイスの医学教授ニーハンスが、ある女性患者に副甲状腺の細胞組織をはじめて投与しました。この処置は治療として大きな成功を収めていきます。テタニーとよばれる筋肉の痙攣は姿を消し、細胞療法が生まれました。
胸腺療法の発展におけるもっとも重要なステップは、スウェーデンの医師サンドバーグ博士による1970年代の業績です。サンドバーグ博士は、細胞標本を用いるのではなく、胸腺からの抽出物を培養し、それを注射¹によって、結核を患っていた彼の実弟に投与し、大きな成功を収めました。
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この成功に先立って、サンドバーグ博士は、屠殺された子牛の検分の際にある観察を行っていました。健康な子牛(抗生物質²とエストロゲンの摂取なし)の胸腺は明るい色をしていて、しっかりと詰まっており、外見的にはあまり目だちません。過去に感染を経験した子牛の場合は、すでに回復している場合でも、違いが見られます。胸腺は小さくなり、ややたるみを帯び、少し硬くなります。しかし、弱くなってはいても、十分に機能は果たしています。慢性的な感染にかかっている子牛の胸腺は硬直化し、形や色が大きく変化して機能も著しく制限されます。
こうした観察は、身体の健康状態に対して胸腺が持っている意味を認識することにつながりました。サンドバーグ博士は、子牛の胸腺から抽出物を得ることに成功し、なおかつそれは、胸腺の個々の作用物質を自然な方法で、つまり生理学的な方法で濃縮したものでした。こうして開発された胸腺の抽出物を博士は「THX」と名づけました。ドイツではそれ以来20年以上、自然の医療薬であるこの胸腺からの新鮮な抽出物の開発をさらに進めるべく、セラピストたちが研究を続けています。その他にも、異なる胸腺からの標本が存在しています。 ページ上へ
1. 注射:体内に薬品を注入すること
2. 抗生物質:ウイルス、菌、その他の微生物を、殺すか、もしくはその繁殖力を失わせる物質
3. 免疫システムの機能
病気から身体を防衛する「個人的な私営軍」である免疫システムは、人間の場合は幼年期の早い段階で形成されます。免疫システムは、胸腺、骨髄、脾臓¹、リンパ節²の全て、そして白血球の全てによって構成されています。さらに、肌と胃腸管系もこれに加わります。肌は、外部からの菌の侵入に対する最初の保護バリアとなり、胃腸管系は、摂取した栄養物からバクテリア等をフィルターによって排除するからです。これらの防御システムの重量は、全体重の5パーセント以上を占めます。
免疫システムは、外部から身体へと侵入する病原体(細菌、ウィルス、菌類、毒)を迅速かつ確実に破壊するためにいつでも備えています。現在の認識では、身体組織の抵抗力の発達は、胸腺の機能と密接に関連しています。
生誕時には、胸腺がリンパ系の最大の器官です。この時点では、脾臓やリンパ節はまだほとんど発達していません。リンパ系の個々の「段階」において正しく機能することは、おのおのの生体の身体に固有な抵抗力の基盤となります。ページ上へ
1. 脾臓:柔らかい、海綿状の器官。リンパ節と同様に、血液をフィルタリングして古い血球を除去し、新しい血球を作る。脾臓は腹部の左側横隔膜下にあり、重さは約200グラム。生体の最初の段階では、脾臓は赤血球の生成に重要な関与をしている。成人の場合は、骨髄がこの機能を果たす。
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2. リンパ節:リンパ管に沿って全身に配置されている、小型で豆に近い形状の器官。重要な防衛機能をもつ白血球(特にリンパ球)が宿る場であり、細菌やガン細胞に対するフィルターとして機能する。
4. 胸腺-身体の自己防衛力の制御中枢
思春期までの期間に、胸腺は大きく成長し、活発になります。胸腺内では特別な「血液細胞」が形成され、身体の防衛システムを構築するために訓練されます。それゆえ、胸腺は「身体の自己防衛力の制御中枢」とよばれます。それに加えて、骨髄は「血の警察官」とよばれる白血球を常に生産しています。リンパ細胞(リンパ球)も血の警察官に数えられます。リンパ細胞は骨髄で作られて幼若な段階で胸腺に達し、そこにいる情報伝達ホルモンによって、身体固有の細胞組織を認識するように、そしてこれを攻撃しないように訓練されます。これに対して、身体外からの細胞と沈澱物質は、「異質な」ものとして識別されます。
リンパ球が自身で攻撃に回る(キラー細胞)こともあれば、攻撃のシグナルが他の「血の警察」に伝達されることもあります。つまり、無傷の免疫システムにおいても、大きめの食細胞は隠れた異質な細胞やコントロールされずに増殖しすぎた細胞を認識して、無害化します。このプロセスは、ほぼ一週間ごとに行われ、身体への悪影響を及ぼすことはないと、免疫学者によって確認されています。 ページ上へ
5. 免疫システムで発生する障害とは
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免疫システムで障害が発生する原因はさまざまです:
- 抵抗力の減退。 高齢者になるとこれは自然に起こります。思春期に、胸腺は完全な能力を発揮する段階に達し、それ以降サイモシンの生産は継続的に減少していきます。サイモシンとは、胸腺から分泌される、身体の自己防衛のために非常に重要な作用物質です。50歳になると、思春期と比較して20パーセントの量までサイモシンは減少します。70歳ごろに胸腺はその作用を完全に停止します。これが意味するのは、とりわけ人生の後半において、免疫システムは補助を必要とするということです。胸腺療法は、十分な量のサイモシンを身体が利用できるようにすることで、ウイルスや細菌などに対する抵抗力を身体が失わないようにします。
- 慢性的な炎症。例えば気管の炎症や、あるいは抗生物質¹の長期間に渡る服用、もしくは重要な身体器官の機能的障害などが生じると、免疫システムは過度の働きを強いられます。これらの患者の多くは感染症にかかりやすくなり、自身を虚弱に感じて脱力感を覚え、免疫機能が低下します。
- リウマチの疾患 は一種の「免疫システムの革命的無秩序」をもたらします。健康な人間の場合には病原体と戦う細胞が、自らの身体を攻撃し、生体に必須の防衛機能が混乱に陥るのです。胸腺治療は、こうした障害を正常化するために必要なサポートを身体に対して提供します。
- 関節の摩耗(関節症)および慢性的な炎症も、免疫システムにとっての試練となります。サイモシンはタンパク質の代謝を刺激し、関節での代謝産物の自然な除去過程を補佐して、腫れ、発赤、痛みを和らげます。
- 湿疹やその他の皮膚の疾患は、公害物質や増加しつつある紫外線に起因する度合いがますます強まっています。胸腺の作用物質は皮膚の新陳代謝を促進し、新しい健康な皮膚細胞の形成を助けます。
- 憂鬱や過度のストレスなどの精神的な苦しみは、免疫的抵抗力のパフォーマンスを低下させます。病原体にとって有利な状況となり、感染症にかかりやすくなります。
- 重篤な病気や手術は身体全体を衰弱させ、特に免疫システムを弱めます。それゆえ、例えば手術の直後には、軽い鼻風邪でも深刻な結果を招くことがあります。胸腺の作用物質は免疫システムを強化し、大きな外科手術および内科手術の後の回復期を短縮します。ページ上へ
1. 抗生物質:物質は、細菌は、菌および他の微生物またはその能力に影響を与えることを確認します。
6. 胸腺療法の効果がある疾患
胸腺の作用物質は、免疫の変調器とよばれています。それは、免疫システムが「機能不全」に陥ったときに、これらの物質が使用されるからです。胸腺療法が効果的な疾患の例は、以下の通りです:
- 抵抗力の低下もしくは感染症への感度の上昇
- 関節リウマチの罹患
- 湿疹その他慢性的な皮膚の疾患
- 精神的な疲労状態および倦怠
- 重篤な病気の予防処置およびアフターケア
- 花粉症、喘息などのアレルギー性疾患
- 大きな手術の前後ページ上へ
7. 免疫システムの衰弱をどこで見分けるか
免疫システムの状態を調べるには、血液検査がもっとも正確です。ただし、ご自身で注意していただくと見つけられる徴候もあります。
- 疲れやすく、気力に欠けている。
- 病気に感染しやすく、長引く。
- 傷が治りにくい。
8. 胸腺療法の効果
胸腺細胞の標本を用いた治療的実践に関する研究およびレポートの数は、全世界で1500を超えます。そうした研究報告から、以下のような効果がありうることがわかっています。
- さまざまな免疫細胞の間のバランスが崩れているとき、これを調整する。例えば、支援を行う細胞と、細胞の働きにブレーキをかけるサプレッサー細胞との間に誤解が生じているとき。
- 組織のなかを循環する免疫細胞が活性化される。
- 胸腺からの物質が、骨髄内でのリンパ球の新たな形成を促し、そのリンパ球を有能な免疫細胞へと成長させる。
- 免疫細胞間の意思疎通をスムーズにする。
9. 胸腺療法の過程
治療はほとんどの場合通院しながら診療室で行われます。古典的な胸腺療法では、2週から5週の期間内で15回から20回の注射を打ちます。注射は臀部の筋肉で行い、ほとんど痛みはありません。病状にしたがって、治療の期間や頻度は変わってきます。多くの慢性的な病気の場合には、2ヶ月から3ヶ月の間で週に1、2回の注射を追加して打つことで、症状のよりよい改善が見込めます。ページ上へ
10. 副作用の有無
この自然的治癒法で用いられる作用物質は胸腺ペプチドであり、これは胸腺が作り出す物質に類似したものです。胸腺が作る物質は十分な量に達しないことがしばしばです。胸腺からの新鮮な抽出物は長鎖状のタンパク質を含んでおらず、有効成分のみを含んでいるために、標本は長持ちします。注射した箇所が赤くなったりかゆくなったりすることは時々ありますが、普通は特に処置を施さなくともそうした症状はおさまります。ページ上へ
11. 効果が実感できるまでの時間
胸腺療法の効果は長期にわたって持続します。始めて数週間で、すでに普段の健康状態が改善されたのが確認できます。この療法でもっとも重要なのは、免疫システムへの好影響が長期間持続しうることです。免疫細胞が望ましい形で機能すれば、免疫システムの障害は生じません。ですから、この療法とともに健康に向かっての大きな一歩を踏み出すことになるのです。ページ上へ
12. その他の臓器からの新鮮な抽出物
全ての臓器から、新鮮な抽出物を取り出すことが可能です。臓器とその機能は下に示すとおりです。
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