2012年3月31日土曜日


◆はじめに

学校の成績が良い人、学歴の高い人が「脳力が高い」というわけではありません。それらも一部の要素ではありますが、脳力とはもっと広い意味で、その人の行動、思考、感情、感性、人間性などすべてを指しています。
今まで脳は年齢と共に必ず低下するものであり、歳をとってから脳は鍛えられないと信じられてきました。しかし違ったのです。脳は鍛えれば鍛えるほど、いつまでも向上し続けるもので、逆に使わなければ二十歳になる前からでもどんどん低下してしまうものなのです。最近は脳を使わない生活をする人が増えてきたことによって、若年性痴呆症(若ボケ)も急増しています。脳を使わなくても支障なく生活できるようになってしまった時代だからこそ、意識的に普段から脳を鍛え、能力の低下を防ぎ、さらにさらに能力を高めるようにトレーニングしましょう。

◆脳力とは?

人間の体の細胞は、生まれた時が最も少なく、成長とともに新陳代謝を繰り返しながらどんどん増加していきます。しかし脳細胞は生まれた時にすでに完成していて、誰にでも平等に約140億個あります。その後は決して増加することはなく、むしろ成長とともに減少し、一度脳細胞が壊れると再生しません。
しかし人間は、この偉大な脳細胞を死ぬまでに3%程度しか使用していないと言われています。天才として知られている偉人たちでも7%くらいが限度です。残りの脳細胞は使用しないまま寿命がつきるのです。つまり、年齢とともに脳細胞がいくら減少していくと言っても、まだまだ使用していない脳細胞は温存されているため、「歳をとると脳は鍛えられない」というのは嘘なのです。脳細胞が減っていっても、使用する脳細胞はまだまだ限りなく残されているため、人間の構造上、死ぬまで使い続けることができるのです。

脳細胞は使われれば使われるほど、シナプスという神経線を出し合い、他の脳細胞とつながります。シナプスは脳細胞同士を網目状につないでいき、これが「脳力」と言われるものになります。つまり脳を使� ��て脳細胞を刺激し、シナプスをたくさん出して大きな回路網を作ることこそが、脳力を高めることにつながるのです。

この回路網こそが、その人の思考や行動、感情、意志、感性などのさまざまな結果を導き出しています。回路網のできかたにこそ、個性があり、個人差が生まれ、頭が良いとか悪いとかの結果につながっているのです。生まれた時は万人に同じ数だけある脳細胞に差が生まれてくるのは「脳を使っているかどうか」であり、それによって脳力に差が出てくるのです。

ちなみに勉強ができる人、学校の成績が良い人がイコール脳力の高い人というわけではありません。勉強という要素も回路網が作り出す結果のひとつではありますが、それがすべてではないのです。脳力とは人間性をも含む、個人がもつすべてを 指すと言っても過言ではありません。

2012年3月29日木曜日


●セログループ=アジア系土着のHCV

 欧米産の薬は効き難い。
 以前の根治率1〜2%>
 現在=1年以上投薬&IFN治療継続
    >50%程度は治癒傾向に。

●今回の治療から
 日本人向けに改善された
 ペガシス・コペガス併用治療に切れ替えた。

 ペガシス皮下注射180μg=
  セログループ1でHCV−RNA量が高値のC型慢性肝炎のウイルス血症の改善する。
 副作用=あらゆる病気の増悪!?貧血〜失明〜自殺まで各種アラカルト。

※この添付書類読んで進んで治療受ける人は勇者だ^^;。

 コペガス錠200mg=
  抗ウイルス剤セログループ1&HCV−RNA量高値のHCVの改善薬。

 副作用=自殺企図/躁鬱状態/心不全/肺炎/
     脳梗塞/意識障害/
     錯乱&幻覚&中毒性表皮壊死@@!。
     ユエニ食べ過ぎ以外の怖い病気各種!!。

※これを読んでも薬を飲むノサ。

◆◆◆

と、怖い副作用注意の列記。担当さんは

「よく分かんないからなんでも書いとけ」

と思ったに違いない。気の弱い人にはSな文だ。

 さてさて治療再開の翌朝の体調!。

 久しぶりに8時間以上連続睡眠出来,すこぶる快調。一応。副作用予防に、寝る前ロキソニン半錠&ソラナックス半錠を飲んだ。数年生活の質を落としても治癒延命を望むのは「希望」と言う光を掴みたいからだろう。

◆◆◆

 ペパコペ治療再開=最初の夜!now。まったく異常なし。

心の声=
 あ〜、心配して損しちゃたもんね。
 抗体反応だってよくよく調べれば誤差範囲。
 以前の検査なら陰性じゃん@@。
 実際ウィルスがいるか?単なる過去の痕跡なのかは?
 今の検査では?だYO〜!。

◆◆◆

 昨日、愚痴をこぼして訪れたご近所の主治医。

 一ヶ月以上、尿に炎症反応と潜血が出ている。時々はタンパク質も。タリザードが効かないので先週、簡易な癌検査をしていたのだ。その結果も気になっていた。かかりつけ医には尿の細菌検査と言われたが、腫瘍検査もしていた。これは腫瘍2度手術の私の体調を気遣ってしてくれたから。カルテに糊付けされた検査結果用紙を見せてくれた。

 原因不明 炎症反応あり。

 どうも、原因不明の炎症があるらしい。肋膜が痛いので、少し怖いかも…。どっちにしろ原因不明って奴は怖い。幸いなことに腫瘍マーカーは反応していない。タリザードの連続服用で耐性菌のようなもの?真菌カビなど体内にいるか?の検査結果は� ��日訊くことになった。まったくあれこれ病気なことだ(汗)。

◆◆◆

 昨日夕方

 かかりつけ医に

 私;「今日の検査で落ち込んだ」と言ったら

 「え〜、また腫瘍が出来たの?」

 私;「HCVが陽性反応になった」

 「ナ〜ンダ、ソンナコト〜!?」

 「この肝機能数値なんて問題ないよ〜。」

 私;「だって、国立の先生がっかりしていたしぃ〜」

 「先生女の人なの?。まったく問題ない。

 ここで。かかりつけ医のセカンドオピニオン

 IFN治療はたとえ根治しなくても絶対に!延命効果がある(良い事がある)。
 それに根治しなくて肝臓癌になっても今は死ぬ(寿命)まで付き合える病気。
 手術も薬もどんどん進化進歩している。肝臓癌を怖れることはないよ。呵々!

 なんとなく安心しつつ、高齢になっての肝臓癌より、悪性肉腫の再発の方が怖いのかもネ〜。

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公開されている副作用の一覧
※30%と書かれた副作用ならほぼ100%影響があるらしい。

2012年3月27日火曜日


『膠(にかわ)』

古来より使用されてきた接着剤料。棒状になった物(三千本)や顆粒状(主にウサギ膠/別名:トタン膠)の物があります。主成分は、近年お肌にも良いとされるコラーゲン。タンパク質の一種で、動物や魚の皮を水で煮た液を乾燥させて作ります。日本絵画の多くは顔料にこの膠を混合し、接着剤として描画しています。
絵画などの修復作業においては剥離した絵の具の再定着や、定着の強化を目的としています。とくに絵の具層の厚い油画等の欠失部分には、炭酸カルシウムなどを混合したペーストを充填材として使用します。

『布海苔(ふのり)』

一見、畳イワシかインスタントラーメンの麺のようにも見えますね。でもこれは海藻の一種で、それを乾燥させたものです。生麩糊同様に、水を加えて常温で溶かすか、加熱して煮溶かして使います。溶けた接着剤は黄色実を帯び、修復の現場では仮着(一時的、または応急的な接着)剤として、痛んだ絵画表面の養生(表打/作品の表面に和紙等を張り付けて被覆すること)などを行う時に用いたり、絵の具の剥離箇所などに膠と混ぜて利用します。

2012年3月25日日曜日


文責:師田信人(独立行政法人 国立成育医療研究センター 脳神経外科医長)

1●髄液(脳脊髄液)と脳室


頭の中には何が入っているでしょう?

もちろん脳がありますね。大脳とか、小脳とか。血管や神経もあります。まあ、それくらいは常識、常識。

でも、水を溜めるところもあるといったら、ちょっとビックリしませんか?

「頭に水なんか入ってるの?」 

はい、あるんです。頭の中にある水のことを、正式には「脳脊髄液」といいます。これは脳と脊髄(その両方で中枢神経系を構成しています)の中と表面にこの液が存在するからで、通常は略して「髄液」と呼ばれています。

もう少し詳しく、この髄液の存在する脳というものを解剖してみましょう。

脳と脊髄は全体を丈夫な膜で覆われています。これを「硬膜」と呼びます。硬膜の下には表面の滑らかな膜があり、内部はくもの巣のように網目状になり、脳・脊髄表面の血管を支えています。これが「クモ膜下出血」で悪名高い「クモ膜」です。実際の手術の際に顕微鏡下に見るクモ膜はとてもきれいなもので、「『神』さまがいなければ創れない」と、思わず感激してしまうほどに芸術的です。

このクモ膜の下には脳・脊髄表面を直接覆う軟膜と呼ばれる膜があります。字のとおり、とても薄く柔らかい膜です。

脳になんの問題もない、正常な人の場合、硬膜とクモ膜の間には何もありません。クモ膜表面と軟膜の間はクモ膜の網目が走り、脳表の血管がクモ膜によって固定されています。

さて、脳の実質、すなわち脳� ��のものはこの軟膜の下に存在します。そして、脳の中で、髄液を貯留している部分を脳室といいます。いわば、脳室とは脳の貯水場みたいなところです。

2●水頭症ってなに? 水頭症の診断方法


水頭症とは、読んで字のごとく、頭の中が水浸しになることですが、水浸しというとちょっと表現がオーバーですね。実際には髄液の産生(普通、「生産」と言いますが、医学の世界では「産生」と言います)・循環・吸収などの異常により、「脳室が正常以上に大きくなった状態」を指します。

髄液が正常以上に産生されその吸収が追いつかないとき、あるいは何らかの原因で(生まれつき、あるいは生後二次的に)髄液の循環路が閉塞したりすることによって、脳内に過剰に髄液が貯留して、水頭症になります。

では、医者はどのようにして「この脳室は正常以上に大きい」「この人は水頭症だ」と、診断するのでしょうか。

現在ではCTなどの画像で診断することが一般的です。脳室の幅と脳の横径の比率をはかって� ��頭症と診断します。また、髄液の循環・吸収障害により脳室周辺部が画像の上で黒く見えること(専門的にはこのゾーンを「傍脳室部低吸収域」と呼びます)も、水頭症を疑わせる所見となります。

髄液が脳に過剰に貯留すると、脳の圧が高くなります。そのため、頭蓋骨がまだ固まりきらない乳幼児期に水頭症になると、頭囲が拡大=頭が大きくなってきます。乳児検診のときに必ず頭囲を測定し、母子手帳の頭囲成長曲線にその数値を記していくことは、最も単純かつ有効な水頭症の発見方法です。

3●脳室の構造とその大きさ


先ほど言いましたように、脳室とは脳のなかで髄液を貯めておく、貯水場のようなところです。しかし、「貯める」という表現はちょっと正確でありません。というのは、髄液は常に産生され、脳内から脳・脊髄表面を循環し、吸収されているからです。

脳室は4つのパーツからできています。まず、左右の大脳半球内にある側脳室(左、右各一つづつあります)、それから、両側側脳室とつながっていて、より尾側の正中(=まん中)に位置する第3脳室、それよりもさらに尾側(=足の方)にあって、小脳と脳幹に囲まれた第4脳室があります。

脳室の大きさには一応「正常範囲」と呼ばれるものがありますが、人それぞれの顔が違うように、脳室の大きさも形も、個人個人で異なります。

また、同じ人でも、生誕直後→� �児期→成人→老年と進んで行くに連れて、形が異なってきます。

水頭症の場合、脳室が大きくなって周辺の脳を圧迫します。逆に「脳萎縮」と呼ばれる状態などで脳自体の圧が低くなっても、脳室は大きくなります。

一方、水頭症の治療方法であるシャント(後述します)によって髄液が流れすぎたとき、あるいは脳出血や頭部外傷で脳が腫れるなどして脳自体の圧が高くなった時には脳室は小さくなってしまいます。

4●髄液の産生・循環と吸収


水頭症では脳室内に髄液が貯留し、脳室が拡大すると言いました。では、この髄液はどこで産生され、どう循環して、どこで吸収されているのでしょうか?

このことは非常に基本的な質問であるにもかかわらず、驚くべきことに、いまだにその詳細は完全には明らかになっていないのです。しかし、髄液の流れの本流、というか、大まかな流れはわかっています。

髄液の大部分、約70%近くは脳室内にある「脈絡叢」(みゃくらくそう)という組織で産生されます。脈絡叢の大部分は左右の側脳室にあります。第3脳室、第4脳室の天井側にも少量存在します。

「叢」という字から想像できるように、草むらのようなふわふわとした組織で、太めの血管から網目状の血管に至るまで、血管の成分に富んでいます。ちょっと乱暴� ��言い方をすれば、この血管から液状成分が分泌されて髄液になるわけです。

髄液の産生量は正常の成人で一日大体400-500mlです。ちょっと古い人には昔の牛乳瓶2本分くらい、というと具体的なイメージがわくみたいです(紙パックだと、最近はサイズがいろいろあるので、「中くらいの」なんていってもピンときませんよね)。通常の脳内、脳・脊髄表面の全髄液量は約120-150mlといわれていますので、髄液の産生量が400-500mlということは、一日に3回分、入れ替わっている計算になります。

産生量は、脳や周辺の状態によっても変化します。脳室内の髄液の圧が上がると産生は抑制されます。また、髄膜炎のような炎症反応を生じると産生が増加します。脈絡叢に由来する脳腫瘍ができると、髄液が過剰産生され、それによって� �頭症をきたすことが知られています。

左右の側脳室内にある脈絡叢で産生された髄液は第3脳室に流れます。側脳室と第3脳室のあいだには、左右各々に「モンロー孔」という穴があり、ここを髄液が通過していきます。アメリカの有名な女優さんの名前で覚えてください。本当は18世紀のスコットランドの有名な解剖学者アレクサンダー・モンロー(Alexander Monro 1733-1817)に由来した名前です。

さて、第3脳室に流れ込んだ髄液は第4脳室に流れていきますが、両者は「中脳水道」という大変細い通路で結ばれています。

第4脳室に流れ込んだ髄液は今度は尾側端正中にある穴(マジャンディ孔)と左右にある穴(ルシュカ孔)から脳表、脊髄表面に流れ出ていきます。

脳表・脊髄表面を循環した髄液は頭頂部の硬膜にある「クモ膜顆粒」という組織により吸収され「静脈洞」(硬膜に囲まれた特殊な静脈)に入ります。この頭蓋骨の正中直下を走行する静脈洞は脳内では一番太いもので「上矢状静脈洞」と呼ばれています。

ここまで見てきた、髄液の主要な産生、吸収の循環経路のどこに異常が生じても、水頭症になります。極端な例で言うと、脳内には何も異常がなくても、頭 蓋骨の異常で静脈洞が圧迫されても水頭症になってしまうことがあるのです。ひとくちに水頭症といっても原因は多種多様、ということです。

5●水頭症の原因


では、もう少し具体的に水頭症の原因をみていきましょう。

初めに髄液の産生から吸収まで順にそってお話していくことにします。

まず、極めて稀なことですが、髄液を産生する脈絡叢に腫瘍ができ、髄液が過剰産生されて水頭症になることがあります。この場合は髄液の循環路の閉塞はなく、循環路自体はきちんと交通しているので「交通性水頭症」といわれます。

側脳室のモンロー孔周辺部に腫瘍ができると、モンロー孔が閉鎖されて水頭症になります。初期には片方の側脳室だけが拡大します(一側性水頭症)。腫瘍が増大したり、脳室拡大が進行すると対側のモンロー孔も閉鎖され両側側脳室が拡大した水頭症になります。一側性の水頭症は、先天的に一側のモンロー孔が閉鎖されている場合にも生じます。

第 3脳室内に腫瘍ができても、できる場所によってモンロー孔が閉鎖されたり、中脳水道の入り口が閉鎖されて水頭症になります。前にお話しした脳室の構造をちょっと思い出してみてください。モンロー孔が閉鎖されれば両側の側脳室が拡大します。中脳水道の入り口が閉鎖されれば両側側脳室と第3脳室が拡大することがわかりますね。

2012年3月23日金曜日


メチル水銀毒性の発現機構解明とその応用Studies on mechanism of toxicity of methylmercury20032005永沼NAGANUMAAkira東北大学・大学院・薬学研究科・教授基旭東北大学・大学院・薬学研究科・助手大橋一晶大阪大学・大学院・薬学研究科・助手久下周右東北大学・大学院・薬学研究科・助教授Cdc34F-Box蛋白質F-box proteinsRad23methylmercuryresistancetoxicityubiquitinメチル水銀ユビキチン毒性発現機構耐性酵母環境系薬学基盤研究(A)東北大学
一般
205400001950000010660000我々は、Cdc34がユビキチン転移酵素として関与するユビキチン・プロ、テアソームシステムの亢進が酵母及びヒト細胞にメチル水銀耐性を与えることを見出している。本システムにおいて基質蛋白質の認識を担うサブユニットであるF-Box蛋白質は酵母には少なくとも17種存在するが、その中でHrt3およびYlr224wが高発現によって顕著なメチル水銀耐性を酵母に与えることを15年度に見出し、16年度にはHrt3が認識する蛋白質としてDld3およびGrs1を、また、Ylr224wが認識する蛋白質としてEno2を同定することに成功した。17年度にはこれら3つの蛋白質全てがメチル水銀毒性増強作用を有し、さらに、細胞内でユビキチン化された後にプロテアソームで分解されることを明らかにした。Dld3およびEno2は共に細胞内でのピルビン酸の生成経路に関わ� �酵素であるが、ピルビン酸のミトコンドリア中への取り込みに関与するトランスポーターであるYi1006wを欠損させた酵母はメチル水銀に対して耐性を示し、過剰のピルビン酸を酵母またはヒト細胞の培地中に添加することによってメチル水銀毒性が顕著に増強されることも新たに判明した。ピルビン酸の単独添加はメチル水銀毒性に影響を与えないことから、これらの結果は、ミトコンドリア中へのピルビン酸の流入促進がメチル水銀毒性の増強を引き起こすことことを明確に示している。一方、ユビキチン化反応に影響を与えることが知られる細胞内因子の中で、Rad23の高発現が酵母にメチル水銀耐性を与えることを見出した。Rad23によるメチル水毒性軽減にはユビキチン化蛋白質のユビキチン鎖の伸張抑制作用が必須であることから、Rad2 3はある種の蛋白質のユビキチン化を介した分解を抑制することによってメチル水銀毒性を軽減すると思われる。その蛋白質の候補としてPng1が同定された。We have identified a gene, CDC34 that confers resistance to methylmercury in Saccharomyces cerevisiae by screening a yeast genomic DNA library. CDC34 encodes one of the ubiquitin-conjugating enzymes (Cdc34) that catalyze ubiquitin transfer onto substrate proteins, an important step for protein degradation via ubiquitin-proteasome pathway. In yeast cells, the ubiquitin-conjugating activity of Cdc34 is essential for the Cdc34-mediated resistance to methylmercury. It is possible to conclude that proteins involved in expression of methylmercury toxicity might exist in the cells and the proteins are degraded after its ubiquitination in proteasomes. In ubiquitin system, substrate proteins are recognized by F-box proteins and ubiquitinated by ubiquitin-conjugating enzymes. Thus, we searched F-box proteins which confer resistance to methylmercury, and found that Hrt3 and Ylr224w have role in protection against methylmercury toxicity. Proteins that bind to these F-box proteins might have activity to intensify the toxicity of methylmercury. We identified three proteins that bind to the F-box proteins, Hrt3 and Ylr224w. Overexpression of the genes for these proteins conferred a hyper susceptibility to methylmercury. Moreover, these proteins are found to be ubiquitinated in the cells. These results suggest that the F-box protein-bounding proteins identified by the present study have significant roles in expression of methylmercury toxicity and are decomposed by the ubiquitin-proteasome pathway. Two of these proteins are enzymes involved in synthesis of pyruvate, and overexpression of these proteins might increase cellular concentration of pyruvate. Addition of excess pyruvate into the culture medium significantly prevents toxicity of methylmercury. Increase in cellular production of pyruvate might have an important role in enhancement of toxicity of methylmercury.
siRNAによる遺伝子ノックダウン法を利用したメチル水銀感受性決定遺伝子の検索20052005永沼東北大学・大学院・薬学研究科・教授基旭東北大学・大学院・薬学研究科・助手siRNAスクリーニングヒト培養細胞メチル水銀毒性ライブラリー遺伝子ノックダウン環境系薬学萌芽研究東北大学3400000メチル水銀毒性の発現機構は不明のままであり,解明のための糸口さえほとんど得られていない。近年、siRNAを用いた遺伝子ノックダウン法が飛躍的な発展を遂げているが、最近になって約30,000といわれているヒト遺伝子の中で機能の分かっている約8,500の遺伝子を一つずつノックダウンするという画期的な応用例が報告された。そこで本研究では、メチル水銀毒性の分子メカニズム解明を目指し、この最新の報告で用いられたsiRNAライブラリーを利用して、欠損することによってメチル水銀感受性に影響を与えるヒト遺伝子群の同定を試みた。まず、様々な条件下での検討により、至適検索条件を確立した。その方法用いて、ノックダウンによってヒト胎児腎由来培養細胞(HEK293細胞)のメチル水銀感受性に影響を与える遺伝子群を検 索した結果、ornithine aminotransferase、chemokine ligand 2、transglutaminase4、glutamate receptor metabotropic6、regulator of G protein signaling1、TBP-associated factor RNA polymerase II、 enolase 2およびphosphoenolpyruvate carboxykinase 1の8種の遺伝子が同定された。この中でenolase 2およびphosphoenolpyruvate carboxykinase 1は共にピルビン酸合成に関わる酵素であることから、ピルビン酸濃度の変動がメチル水銀毒性に影響を与える可能性が考えられた。そこで、ピルビン酸の培地中への添加がメチル水銀毒性に与える影響をヒト神経芽腫細胞を用いて検討したところ、ピルビン酸がメチル水銀毒性を顕著に増強させることが初めて明らかとなった。痙攣発症におけるメタロチオネインの役割とその応用Role of metallothionein in mechanism of onset of epileptic seizure19981999永沼NAGANUMAAkira東北大学・大学院・薬学研究科・教授西山省二明治製菓株式会社・薬品総合研究所・主席研究員三浦伸彦東北大学・大学院・薬学研究科・助手宮入伸一東北大学・大学院・薬学研究科・助教授CadmiumKidneyMetallothioneinNM31PTZ-17PolymorphismPromoterRenal injuryペンチレンテトラゾールメタロチオネイン痙攣遺伝子欠損細胞遺伝子発現生物系薬学基盤研究(B)東北大学
展開研究
68000006100000核移行蛋白質であるメタロチオネイン(MT)が遺伝子の発現調節に関与している可能性を考え、MT遺伝子欠損マウスおよび正常マウスの肝臓から不死化細胞株を樹立してディファレンシャルディスプレイ法で両細胞間で発現量の異なる遺伝子の検索を試みた。その結果、MT遺伝子欠損細胞で発現が認められない遺伝子(NM31)を見いだした。NM31はペンチレンテトラゾール(PTZ)によって誘発される痙撃発症に関与する遺伝子として報告されているPTZ-17と同一であり、ヒトやマウスの脳で特異的に高い発現が認められる。MTには数種の分子種が知られており、我々が検討に用いたMT遺伝子欠損マウスは肝臓や腎臓中の主要分子種であるMT-1および-2を欠損しているが脳特異的分子種であるMT-3は欠損していない。MT遺伝子欠損マウスの肝臓中ではNM31mR NAの発現が殆ど認められないのに対して、脳中では正常マウスと同様に高度の発現が観察された。また、MT遺伝子欠損細胞にMT-3遺伝子を導入したところNM31遺伝子の発現が確認された。この結果から、脳中においてはMT-3がNM31の発現に重要な役割を果たしているものと考えれる。一方、MTは亜鉛などの重金属によってその合成が誘導されることが知られているが、亜鉛処理によって正常細胞のMT濃度は顕著に上昇したもののNM31mRNAレベルはほとんど変動が認められなかった。したがって、NM31の発現には正常レベルのMTが存在すれば充分であると思われる。さらに、PTZの細胞毒性に対するMT有無の影響を検討したところ,MT欠損細胞および正常細胞との間に有意な差は認められなかった。このことから,NM31の発現の有無は少なくともPTZの細胞毒性には� ��響を与えないものと考えられ、PTZ誘発性の痙れんにはNM31は直接は関与しない可能性が示唆された。Nuclear localization metallothionein (MT) in mammalian cells has been reported, indicating that metallothionein may also be associated with unclear functions. We speculated that MT is involved in gene expression. Genes differentially expressed in association with disruption of the MT gene were screened using two hepatic cell lines isolated and established from the livers of normal and transgenic mice deficient in the genes for MT-1 and -2 (MT-null). We found one cDNA (NM31) that was expressed only in normal cells. The nucleotide sequence of NM31 was identical to the 3' region of PTZ 17, which is related to pentylenetetrazol (PTZ)-induced seizures. Transfecting MT-null cells with the genes for both MT-1 and -2 resulted in NM31 expression. High expression level of NM31 has been observed in the brain of human and mouse. The expression of NM31 was also observed in the brain of MT-null mouse which is containing brain specific Mt isoform, MT-3. When the MT-3 gene was introduced into the MT-null cells, the expression of the NM31 gene was also observed, suggesting an important role of MT-3 in expression of NM31 in the brain. On the other hand, MT is known that the synthesis was induced by heavy metals such as zinc. However, the NM31mRNA level in normal cells was not changed by zinc at a concentration sufficient to induce MT. It seems that MT levels of the normal cell are enough for the expression of NM31. Significant difference of cytotoxicity of PTZ could not be recognized between MTnull-cell and normal. Next, we examined cytotoxicity of PTZ in MT-null cells and normal cells. Significant difference of cytotoxicity of PTZ could not be recognized between these two cell lines, suggesting that NM31 may not be involved in PTZ toxicity.
メチル水銀の細胞内標的分子の解明Investigation of Target Molecules of Methylmercury Toxicity20002001永沼NAGANUMAAkira東北大学・大学院・薬学研究科・教授古地壯光東北大学・大学院・薬学研究科・助手三浦伸彦独立行政法人 産業医学総合研究所・研究員Cdc34GFATMethylmercuryResistanceUbiquitinYeastグルコサミングルコサミン6リン酸メチル水銀メチル水銀毒性ユビキチン培養細胞細胞内標的分子耐性耐性遺伝子酵母公衆衛生学・健康科学基盤研究(B)東北大学
一般
72000006300000我々はL-グルタミン:D-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)が酵母におけるメチル水銀の標的分子であることを明らかにした。そこで,ヒト組織由来の培養細胞を用いてメチル水銀毒性とGFAT活性との関係を検討した。酵母ではGFAT反応の産物であるグルコサミン-6-リン酸を細胞内に供給することによってメチル水銀の細胞毒性が顕著に軽減されるが,今回,HeLa細胞を用いて検討したところグルコサミン-6-リン酸の供給によるメチル水銀毒性の軽減はほとんど観察されなかった。また,ヒト腎由来の293E細胞にGFAT遺伝子を導入したGFAT高発現細胞はメチル水銀耐性をほとんど示さなかった。以上の結果は,少なくともHeLa細胞においてGFATがメチル水銀の標的分子ではない可能性を示唆している。そこで、GFAT以外の分子を検索し� �ところ、ユビキチン転移酵素Cdc34をコードする遺伝子CDC34の高発現が酵母にメチル水銀耐性を与えることが判明した。これまでにユビキチンシステムとメチル水銀毒性の関係に関する報告はないことから、本知見はメチル水銀毒性を考えるうえでも大変興味深い。このCdc34に様々な変異を与えた変異CDC34遺伝子を酵母内で発現させることによって、メチル水銀耐性獲得に必要な機能ドメインの検索を行ったところ、Cdc34のユビキチン転移酵素としての機能がメチル水銀耐性獲得に必須であることが明らかとなった。以上の結果から、ユビキチンシステムはメチル水銀に対する防御因子として重要な役割を果たしているものと考えられ、この機構にメチル水銀の標的分子が関与している可能性も考えられる。Methylmercury is a significant environmental contaminant that will continue to pose a great risk to human health. However, the biochemical mechanism responsible to methylmercury toxicity is not clearly identified. We have reported that L-glutamine:D-fructose-6-phosphate amidotransferase (GFAT) is a target molecule of methylmercury in the yeast. In the present study, the relationship between methylmercury toxicity and GFAT activity was examined in cultured human cells. In yeast, cytotoxicity of the methylmercury is remarkably reduced by overexpression of GFAT or by loading excess glucosamine-6phosphate which is a product of the GFAT reaction. However, the protective effect of loading of excess glucosamine-6-phosphate against methylmercury toxicity was not observed in HeLa cells. 293E cells overexpressing GFAT also hardly demonstrated resistance to methylmercury. These results suggest that GFAT may not be a target molecule of methylmercury at least in HeLa and 293E cells. Thus, we have searched for other genes conferring methylmercury resistance by transforming a genomic library into Saccharomyces cerevisiae. We have identified CDC34 as a methylmercury resistance gene. CDC34 encodes one of the ubiquitin-conjugating enzymes that catalyze ubiquitin transfer onto substrate proteins, an important step for protein degradation via ubiquitin-proteasome pathway. To investigate the mechanism for reduction of the sensitivity of yeast to methylmercury by overexpression of CDC34, we examined the viability of yeast strains overexpressed various CDC34 mutants in the presence of methylmercury. Since CDC34 mutants, cdc34C95A, cdc34E109, D111, E113A or cdc341-170aa, which have been shown to have less or none ubiquitin-conjugating activity, failed to confer methylmercury resistance, ubiquitin-conjugating activity of Cdc34 seems to be essential for the resistance. Cdc34 has an important role not only in yeast but also in humans. These results suggested that ubiquitin-conjugating enzymes may play a critical role on methylmercury resistance in yeast. Cdc34 has an important role not only in yeast but also in humans.
カドミウム毒性に対する遺伝的ハイリスクグループ同定法の開発Identification of a genetically high-risk group for cadmium toxicity20012002宮入伸一東北大・薬学研究科(研究院)・助教授永沼NAGANUMAAkira東北大学・大学院・薬学研究科・教授三浦伸彦独立行政法人産業医学総合研究所・研究員宮入伸一日本大学・薬学部・教授久下周佐東北大学・大学院・薬学研究科・助教授CadmiumCin5High risk groupIndividual differenceMTF1MetallothioneinPolymorphismRenal injuryYdr259cカドミウムシスプラチンパラコートメタロチオネイン個体差耐性遺伝子腎毒性遺伝子多型酵母高感受性集団環境系薬学基盤研究(B)東北大学
展開研究
72000006700000メタロチオネインはカドミウムなどの重金属によってその合成が誘導され、これら重金属と強固に結合してその毒性の発現を抑制する。一般人では、カドミウム毒性の主要標的組織である腎臓中に蓄積しているカドミウムはそのほとんどがメタロチオネインに結合した無毒性の形で存在している.しかし、メタロチオネイン合成に異常がある一群(ハイリスクグループ)が存在する可能性も否定できない。そこで本研究では、メタロチオネイン合成異常の原因として遺伝子変異に着目し、メタロチオネイン遺伝子のプロモーター領域中での塩基配列異常とメタロチオネイン合成との関係を検討した。健常な日本人119例の白血球から単離したDNAを用いてプロモーター領域の変異をSSCP法により検索したところ、以前我々が見出した転写開� �点(+1)から上流5塩基目(-5)に存在するアデニン(A)からグアニン(G)への一塩基置換のみが今回も認められた。その存在割合は野生型であるアデニンのホモ接合体が98例(82.4%)、アデニンとグアニンのヘテロ接合体が20例(16.8%)、グアニンのホモ接合体が1例(0.8%)であった。この変異部位はTATA boxと転写開始点の間のコアプロモーター領域に存在し、変異型(-5g)プロモーターは野生型(-5A)に比べてZnやCdによる転写活性化効率が有意に低いことも判明した。プロモーター中の変異部位周辺配列をプローブとしてゲルシフトアッセイを行ったところ、変異によって結合量が低下する核内蛋白質が存在することが明らかとなった。一方、プロモーター中に変異のある人々を簡便に同定する方法を検討し、変異によって制限酵素BsgI切断部位が消失することに着目した切断断片長測定法を確立した。本法を用いてカドミウム毒性に対するハイリスクグループを同定することにより早期予防が可能になるものと期待される。Metallothionein (MT), the synthesis of which is induced by heavy metals such as cadmium (Cd), binds tightly with these heavy metals and suppress their toxicity. In healthy people, Cd mainly accumulates in the kidney, which is the primary target of Cd toxicity, and is present as MT-bound non-toxic forms. However, the possibility of the presence of a group of people with abnormalities of MT synthesis (high-risk group) cannot be excluded. In this study, therefore, we directed attention to gene mutations as possible causes of abnormal MT synthesis, and evaluated the relationship between abnormal base sequences in the promoter region of MT gene and MT synthesis. When we examined mutations of the promoter region using DNA isolated from white blood cells of 119 healthy Japanese people by the SSCP method, only the one-base substitution from adenine (A) to guanine (G) at the 5th base upstream (-5) of the starting point of transcription (+1), which we detected before, was observed again. Concerning the frequency of its occurrence, the homozygote of adenine, which is the wild type, was observed in 98 subjects (82.4%), heterozygotes of adenine and guanine were observed in 20(16.8%), and the homozygote of guanine was observed in 1(0.8%). This mutant site was present in the core promoter region between TATA box and the starting point of transcription, and the mutant promoter (-5G) had significantly less transcription activating efficiency by Zn and Cd than the wild type (-5A). We also evaluated a simple method for identification of people with a mutation in the promoter and established the fragment length measurement method based on the disappearance of the site that is cut by the restriction enzyme BsgI due to mutation. This identification of a high-risk group for Cd toxicity by this method may allow early prevention of Cd poisoning.
シスプラチンの細胞毒性発現に関与する蛋白質の同定とその機能解析20012001永沼東北大学・大学院・薬学研究科・教授古地壯光東北大学・大学院・薬学研究科・助手三浦伸彦独立行政法人産業医学総合研究所・研究員Cin5Ydr259cシスプラチンパラコート耐性遺伝子酵母特定領域研究(C)東北大学4200000酵母にシスプラチン耐性を与えることを我々が見出した機能未知の転写因子様蛋白質Cin5およびYdr259cは相同性が高く、同じ機構でシスプラチン耐性に関わると考えられる。両蛋白質は共に他の転写因子との相互作用により遺伝子発現を抑制する作用を有する可能性が示唆されたことから、DNAマイクロアレイ法を用いてCin5またはYdr259cによって発現が抑制されている遺伝子群を検索したところ6種の遺伝子が見出された。これら6種の遺伝子をそれぞれ欠損した酵母はどれもシスプラチン耐性を示さなかったが、そのうちの一つであるSpt7を欠損した酵母がパラコートに対して強い耐性を示した。Cin5およびYdr259c高発現酵母も同様にパラコート耐性を示したことから、Cin5およびYdr259cが他の遺伝子の発現を抑制することによって酵母に薬毒� ��耐性を与えるという我々の仮説が強く支持された。一方、シスプラチン処理による発現レベルの変動パタ-ンが野生型酵母と比べてCin5またはYdr259c高発現酵母で大きく異なる遺伝子を同様に検索した結果、シスプラチン処理によって野生型酵母では発現量が減少し、Cin5およびYdr259c高発現酵母では上昇する遺伝子として鉄の取り込みに関与する蛋白質をコードする遺伝子8種類が同定された。これら遺伝子のうちFIT1、FIT2、TAF1およびYKR106wを高発現させた酵母にシスプラチン耐性が認められ、Cin5およびYdr259cが鉄の取り込みに関与する複数の遺伝子の発現を直接または間接的に促進することによって酵母にシスプラチン耐性を与える可能性がはじめて示唆された。このような機構がヒトがん細胞中にも存在してシスプラチン耐性に関わっている� �能性も十分考えられる。メタロチオネインのアミノ酸置換が引き起こす影響20032003永沼東北大学・大学院・薬学研究科・教授<member role="2" id="70344679" permalink="http://kaken.nii.ac.